【ワシントン時事】米国の新型コロナウイルスの死者数が27日、10万人に達した。非常事態宣言から2カ月半が過ぎても終わりが見えないウイルスとの戦いに国民は疲弊。感染が広がる都市部に強い民主党と、脅威が比較的小さい農村部を地盤とする共和党で、考えの違いが著しくなっている。
 「全ての国民は潜在的な犠牲者であり、潜在的な殺人者だ」。米紙USAトゥデーは27日、健康な人が広げるかもしれない新型コロナの恐怖をこう表現。1日1000人前後が今も亡くなる中で、国民の気の緩みに警鐘を鳴らした。
 戦没将兵追悼記念日(メモリアルデー)を含む3連休となったこの週末、各地の行楽地は2カ月に及ぶ自宅隔離の疲れを癒やす人の姿が目立った。危機の長期化に伴い、経済再開のスピードやマスク着用をめぐる対立も深まっている。
 「マスクをした人をけなすのはやめてほしい」。中西部ノースダコタ州のバーガム知事(共和)は22日の記者会見で涙で声を詰まらせながら訴えた。マスクを着けるのはその人が「重病の子供や同居する高齢者を守るためかもしれない」と語り、マスクをめぐる政治的対立を「不毛」と断じた。
 外出禁止令やマスクへの拒否反応は、感染の脅威が小さい地方で強い。南部ケンタッキー州では先週、「マスク禁止。外すか、別の店へ行け」と注意書きしたコンビニエンスストアが現れた。今月のキニピアック大世論調査によれば、公共の場でのマスク着用義務付けに、民主党支持者の87%が賛成したのに対し、共和党の賛成は40%にとどまり、明らかな格差がある。
 スタンフォード大の経済学者マシュー・ゲンツコウ教授は米紙に「危機の中で消えてなくなるかと思われた党派の溝は、日増しに深まった」と分析する。米同時テロ後にブッシュ大統領の支持率が9割に達したような党派を超えた団結は見られない。
 11月の大統領選で民主党の候補指名を確実にしたバイデン前副大統領は、経済再開について「専門家の意見を聞くべきだ」とより慎重な立場。経済再開の旗を振り、マスク着用を徹底して拒むトランプ氏は大統領選に向け、党派の対立をあおる側に回っている。 (C)時事通信社