新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言の全面解除後、初めての金曜日となった29日、東京・新橋や横浜の繁華街では仕事帰りの会社員らが酒を酌み交わす姿が見られ、ようやく活気が戻り始めた。ただ、感染拡大前とはほど遠い状況で、今後の見通しに不安の声も聞こえた。
 1932年創業のおでん料理店「新橋お多幸」(東京都港区)では午後3時の開店と同時に、予約していた常連客が来店。調理場との間にビニールシートが設置されたカウンター席に座ると、冷えた瓶ビールでのどを潤した。その後も相次いで客が訪れ、同4時すぎには10人以上になった。
 介護サービス会社を営む染井聡子さん(72)=江東区=は従業員ら3人と来店。2年前に亡くなった夫=当時(70)=とよく来ており、死別後も店員と思い出話に花を咲かせていたという。「少しでも恩返しがしたい」と3カ月ぶりに訪れた。夫が好きだった芋焼酎をグラスに注ぎ、「亡くなってから何本空けたかしら」と笑った。
 もつ焼き店など大衆居酒屋が密集する地区では、日中の陽気が残る中、午後6時には屋外の席がほぼ埋まり、嬌声が上がっていた。ただ室内は空席も目立ち、120席ある老舗ビアホールでは同7時を過ぎても数組の客しかいなかった。
 全ての業種に対する休業要請が解除された神奈川県。横浜市中区の繁華街では、バーやスナックの店内からカラオケの声が聞こえた。人通りが絶えず、呼び込みをする店員の姿もあった。
 スナック「うさぎ小屋」は客と接するカウンターにビニールシートを張り、加湿器で消毒液入りの水を散布するなどの対策も。ママのメルさんは「第2波も心配だが、店を開けないとやっていけない。これからはコロナとうまく付き合っていかないと」と話した。
 同僚と飲んでいた常連客の吉留則明さん(53)は「人通りは増えたが、それでもピークの3割ほど。客足はすぐには戻らないのでは」と寂しそうに語った。 (C)時事通信社