パートなど短時間労働者への厚生年金適用拡大を柱とした年金制度改革関連法が29日、成立した。加入義務がある企業の規模を現行の「従業員数501人以上」から段階的に引き下げ、元気な高齢者や女性など制度の支え手を増やし、少子高齢化が進む中でも年金の持続性を高める狙いがある。ただ、新型コロナウイルスの影響で中小企業の経営は悪化し、さらに保険料負担が重荷となるため、先行きを不安視する声もある。
 厚生年金の適用拡大は、加入する企業の規模を2022年10月に「101人以上」、24年10月に「51人以上」へ拡大。新たに65万人に厚生年金が適用される。今回の法改正では、公的年金の受給開始時期を現行の60~70歳から、22年4月に60~75歳に広げるなど、高齢者の就労につなげる内容も盛り込んだ。
 ただ、足元では中小企業の経営状況は厳しさを増しており、外食産業の団体は「このままでは中小・中堅企業は倒産の危機に直面する」として適用拡大の施行を遅らせるよう訴えたほか、国会審議でも中小企業の負担増への懸念が相次いだ。政府は、補正予算で収入が減少した事業者への持続化給付金などの支援策を講じたことを説明し、「中小企業が難局を乗り越えた上で、適用拡大にも対応できるよう取り組む」(加藤勝信厚生労働相)と理解を求める。
 一方、新型コロナをめぐる状況次第では、将来の給付水準が低下する恐れもある。厚労省が昨年8月に公表した年金財政検証の結果によると、現役世代の手取り収入と比べた年金額の割合を示す「所得代替率」は、経済成長と高齢者や女性の労働参加が続くケースでは法律で定めた50%を上回る。しかし、景気悪化が長期化すれば、こうした前提が崩れかねず、今後の年金制度の見直しでは、新型コロナの影響を踏まえた検討が不可欠となりそうだ。 (C)時事通信社