支給開始競争をあおる政府広報、事前調整のない制度設計―。1人10万円の特別定額給付金をめぐり、事務手続きに追われる自治体から国への不満が噴出している。時事通信社が県庁所在都市などを対象に行ったアンケート調査で、国と自治体との溝が浮き彫りになった。
 アンケートの質問事項「政府への要望」の欄には、多くの意見が寄せられた。A4用紙の紙幅を超えて回答する自治体もあり、現場職員の苦悩と憤りがうかがえる。
 菅義偉官房長官は4月、支給の開始について「5月のできるだけ早い時期に」と発言。政府は特設ホームページで各市区町村の給付状況を公表している。自治体側はこれに対し、「実施主体が市区町村である以上、支給開始時期について、政府が希望的観測で広報すべきものではない。住民に対し、安易に期待を抱かせるような周知は行わないこと」(高松市)、「各自治体の準備状況を公表し、あたかも競わせるようなことはやめていただきたい」(宇都宮市)と不満を募らせる。
 「『なぜうちの市はこんなに給付が遅いのか』という不安を募らせ、膨大な苦情の誘因になっている」(堺市)との指摘も。急ぐあまり事務処理に誤りが生じたり、苦情対応に力をそがれたりしているという自治体もあった。
 「事業開始後にその都度、システムを改善していくのではなく、市町の実情を事前に勘案したシステム構築を希望」(広島市)、「事前に市町村と調整が必要」(長野市)などと調整不足を訴える意見も目立った。
 オンライン申請のシステムには、「安易な導入はやめてほしい」(鹿児島市)、「見切り発車的」(岐阜市)など、ほとんどの自治体が不満を表明。申請に必要なマイナンバーカードと住民基本台帳の情報が連動しておらず、申請ミスを防止するチェック機能もないという指摘が多かった。
 住民に対しては、オンラインではなく郵送申請を要望する声や、時間がかかることへの理解を求める声が上がった。 (C)時事通信社