新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言全面解除を受け、各地の施設などでは営業再開に向けた準備が大詰めを迎えている。ただ、感染対策で新たな負担も増える。「負けられない」「厳しい」。喜びの中に不安を抱えた再スタートになる。
 6月1日からの給食再開に備え、手順や機械の点検に余念がないのは大阪府豊中市で給食用のパンや米飯を作る食品会社を営む吉田日士光さん(66)。休校で生産は9割減。出社人数を減らし、大掛かりな清掃や点検をしてもやることがなくなり「働ける喜びを痛感した」という。
 ただ、感染対策から盛り付けが必要な米飯をパンに替える自治体が多く、パンも個包装が必要になったため、機械を増設し包装のための人員も置いた。負担は増すが、吉田さんは「子供の笑顔のため負けられない」と意気込む。
 東京都墨田区の温浴施設「両国湯屋江戸遊」も再開に向け、営業マニュアルを全面的に見直した。サウナはマットなどで座る場所を指定し、利用人数を制限。マッサージ機やロッカーも一つ飛ばしにして距離を取り、利用後は消毒することにした。
 混雑すれば入場も制限するため、土日の客は半分以下になる見込み。小嶋錠一郎店長(38)は「厳しいが、コロナ疲れで再開を求める声に応えたかった」と話した。
 世界に核兵器の恐ろしさを伝える広島市の広島平和記念資料館は整理券を発行し、入場者を30分当たり100人に制限。団体の来館自粛も呼び掛けており、修学旅行などへの影響は避けられない。音声ガイドの貸与やボランティアの説明も中止した。
 発信力の低下は、ホームページで被爆写真や学芸員の解説、被爆者の体験講話の動画を公開して補う考え。稲田亜由美被爆体験継承担当課長は「一人でも多く被爆の実相に触れてほしい思いは変わらない。収束後はより多くの人に来てもらいたい」と話している。 (C)時事通信社