新型コロナウイルスの影響で「巣ごもり」生活が続き、水産物ではアジの干物など加工品の消費が好調だ。外食控えが続く中、保存可能な総菜用として改めて人気が高まっている。
 東京・豊洲市場(江東区)で水産加工品を専門に扱う卸会社「丸千千代田水産」によると、緊急事態宣言が出た4月、在宅勤務や学校の休校で自宅での食事が増えたため、「日持ちしておかずになるアジやホッケ、サバなど干物がよく売れた」(同社幹部)。特にアジの干物は「4月の売り上げが昨年に比べ2割増」という。
 簡単、便利な商品も注目されており、静岡県沼津市の五十嵐水産が4月に発売した「真あじ 令和の干物」は、頭や尻尾、中骨などが取り除かれており、食べやすいと好評だ。
 同社は「グリルやフライパンでも同時に多くのアジが焼ける」とPR。食べやすく、ごみの量も少ないとあって、都内のスーパーからも豊洲卸に注文が入っている。
 簡便な商品がもてはやされる一方で、割高なだし製品で本格的な調理を求める傾向もある。築地場外市場(中央区)のだし専門店「築地三京」では、有名な料理店でも扱われる高級な煮干しなどが、大きく売り上げを伸ばしている。
 讃岐うどんのだしにも使われる香川県産の「伊吹いりこ」は、通常の煮干しに比べて2倍以上の値段。築地三京の清水義弘社長は「巣ごもりの定着で、時間をかけてこだわりの料理を作ろうという人が買いに来ている」と明かす。4~5月の販売数は以前よりも5割ほど増えた。
 緊急事態宣言は解除されたが、清水社長は「食べることも含めてすべて元の生活に戻るわけではない。今後もだしの魅力をPRしていきたい」と話している。 (C)時事通信社