【ニューヨーク時事】米国で最も深刻な新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けたニューヨーク市が8日、3月下旬から停止していた経済活動再開の第1段階に入った。製造・建設業や制限付きで小売店は営業を再開。黒人死亡事件を機に広がった抗議デモが活発化する中、感染の「第2波」を警戒しながらも、他の州から1カ月半遅れで経済の正常化に向けて動きだした。
 「(市民の)努力の成果だ」。デブラシオ・ニューヨーク市長は7日の記者会見で、外出規制や店舗・企業の休業を通じてピーク時から大幅に減少した新規入院患者数などをグラフで示しながらこう強調した。3月1日に初の感染者が確認された市の感染者数は累計で20万3000人超、死者は疑い例を含めると2万1000人を超えた。
 米メディアによると、第1段階で再開可能となるのは、事前注文した商品の受け渡しに限定した小売業約1万6000社のほか、製造業3700社、建設現場3万2000カ所超。市は第1段階で20万~40万人が職場復帰できると推定する。
 ただ、ブルームバーグ通信によると、米ファッション企業タペストリーが傘下のブランド「コーチ」や「ケイト・スペード」の市内の店舗を8日に再開しないなど、様子を見る企業もある。市内では中心部マンハッタンなどで抗議デモに便乗した略奪や破壊行為も相次ぎ、沈静化したこの週末も多数の店が依然店の前面を板で覆っていた。
 ニューヨーク州は業種別に4段階で再開する計画。第2段階では理容店や、飲食店の屋外席などが再開できる。州内の他の地域は約2週間で第2段階入りしているが、デブラシオ市長は7日、第2段階入りは「7月初めが目標」と改めて慎重な姿勢を示しつつ、前倒しの可能性にも言及した。
 一方、ニューヨーク市内では5月下旬以降、複数の場所で連日抗議デモが行われ、若者らが密集しており、新型コロナが再び広がる事態が懸念されている。週末にデモに参加した人からは「変化を見るまで続ける」(24歳黒人男性)という声もあり、デモが収束する兆しは見えない。数週間後にデモの影響で感染者増が表面化する可能性もあり、州や市はデータを見ながら慎重に経済再開を進めていく方針だ。 (C)時事通信社