【サンパウロ時事】新型コロナウイルスの感染者が80万人、死者が4万人を超えた南米ブラジルでは、感染が拡大しているにもかかわらず、6月に入って経済再開の流れが加速している。最大都市サンパウロでは11日、制限付きながら各地のショッピングセンターが再開。待ちわびた市民が詰め掛けた。
 ブラジルでは事態が深刻化した3月後半から、各州知事や市長が独自に商業施設閉鎖や外出自粛要請などを実施。新型コロナを「ちょっとした風邪」と軽視し、経済再開を強く求めるボルソナロ大統領と激しく対立してきた。
 しかし4月の鉱工業生産指数は、前年同月比マイナス27%と過去最大の下落を記録した。経済の落ち込みは中間層も直撃し、州や市の当局者は、餓死者を出しかねない窮状に音を上げている状況だ。
 11日時点で市民137人に1人が感染した計算となるサンパウロ市のコバス市長は今月に入り、3月20日から禁じていた対面接客を伴う商業活動の段階的再開を許可。11日からは営業時間は1日4時間とするなどの条件で、ショッピングセンターの再稼働も認めた。
 コバス氏は「感染が収まってから経済再開を検討するのはナンセンス。市民は犠牲を払ってきた。(自粛期間に)市は保健システムを充実させることができた」と決断を正当化。市の目抜き通りのショッピングセンターを恋人と訪れた会社員アブラン氏(34)は「息が詰まる日々だった。危険は承知しているが、たまには開放感を味わいたい」と語った。
 ただ、サンパウロ市では現在も、一日数千人単位で感染者が増加している現実がある。サンパウロ州高官は、大統領の主張が正しかったと認めるかのような経済活動の再開を「今はすべき時ではない。感染が拡大しているのに対策をやめろという専門家はいない」と批判した。 (C)時事通信社