新型コロナウイルスをめぐり、政府の入国制限緩和の動きに警戒の声が上がっている。日本は現在、111の国・地域からの入国を原則拒否しているが、ベトナムなど4カ国について7月にも一定数の入国を認める方向で調整している。ただ、1日10人の感染者が入国すると3カ月後には大規模流行が再発するとの試算もあり、専門家は「水際対策は完璧ではない。国は入国者制限など適切な対策を取るべきだ」と訴える。
 試算は、北海道大の西浦博教授(理論疫学)らが実施。何人の感染者が入国すると、緊急事態宣言が必要なレベルの大規模流行が起きるかの確率を算出した。前提条件として、入国者全員にPCR検査を行い、ホテルなどで2週間待機を要請。検査の感度を70%、待機要請が守られる割合を80%などと設定した。
 その結果、感染流行地域から1日1000人が入国し、10人(1%)が感染者だった場合、PCR検査や待機要請を実施しても「すり抜け」が発生し、90日後には98.7%の確率で、大規模流行になった。検疫なしなら100%だった。
 同様に1000人中1人(0.1%)が感染者だった場合、検疫実施で大規模流行の確率は35.3%に抑えられた。同じ条件で、2000人の場合は58.1%、4000人なら82.5%、8000人なら96.9%に上昇。「感染者が来るほど確実に流行が起こる」として入国制限が必要との結論になった。
 日本で3月以降起きた流行は、欧米から入国・帰国した感染者から広がったとされる。政府の専門家会議も「海外との往来再開が、国内での再度の流行拡大のきっかけとなる可能性がある」と強調。当面は入国者を「一定の数」に限定し徐々に緩和するべきと提言した。
 国際医療福祉大の和田耕治教授(公衆衛生学)は「水際対策で全感染者を発見できるわけではない。入国後に感染が判明した外国人全員に地域の保健所が対応するのは、言葉の問題もあり難しい」と指摘。「入国者が今後大幅に増えれば、検疫や保健所の体制が破綻する可能性もある。入国を緩和するなら、国が対策をきちんと講じるべきだ」と話している。 (C)時事通信社