新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が解除された5月、生活保護の申請件数が全国の主要都市の8割で前月より減少したことが15日、分かった。生活資金を支援する特例貸し付けなどが急増しており、自治体の担当者は「貸し付けは一時的な資金。雇用が回復しなければ、生活保護の申請件数は増える可能性がある」と指摘している。
 調査では、都道府県庁所在地(東京都は新宿区)と政令市の計52市区へのアンケートを実施。生活保護の申請件数(一部速報値を含む)を集計した。
 その結果、52市区の申請件数は、3月が9037件、4月が9509件と増加したが、5月は7935件に減少。全体の約8割に当たる42市区で同月は件数が減少した。
 一方、賃貸住宅の家賃を原則3カ月間支給する「住居確保給付金」は、4月の支給決定件数が全国で約2800件に上った。千葉市では申請数が、3月の16件から4月は159件、5月は443件に急増した。
 各地の社会福祉協議会が生活資金を無利子で融資する特例貸し付けも、3月25日~5月30日に全国で計約38万8000件の申請があった。対象を広げているため単純比較できないが、リーマン・ショックや東日本大震災で増えた2009~11年度の3年間の実績を既に超えたことが判明している。
 千葉市は「家賃負担が減少する住居確保給付金や各種貸付制度で(生活保護の)申請が抑えられている」と分析。青森市や福島市、福井市なども同様の理由を挙げた。
 東日本の自治体担当者は「生活保護申請に訪れた人に対し、事情に応じて特例貸し付けなどを案内する場合がある」と明かし、「5月の申請件数は一時的に落ち着いただけだろう」と話した。
 生活困窮者を支援するNPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」の大西連理事長も「生活保護を受給した方がいい人まで特例貸し付けを利用している。借金なので返せなくなる人がどの程度出るのか心配だ」と指摘。数十万円の借金を背負うことで生活再建が困難になると懸念し、「現金給付をより進めるべきだ」と話した。 (C)時事通信社