【サンパウロ時事】南米ブラジルで19日、新型コロナウイルスの累計感染者が米国に続いて100万人を突破した。死者は5万人に迫っている。昨年、感染者5714人、死者1109人を出したインフルエンザと比べても、深刻さは際立っている。
 ブラジルでは、「リオのカーニバル」直後の2月26日に最初の感染者が確認され、4カ月足らずの短期間で急拡大した。各州・市は3月下旬から商業施設閉鎖や外出自粛要請などの対策を取ったが、新型コロナを「ちょっとした風邪」と軽視するボルソナロ大統領は一貫して経済再開を要求してきた。
 経済的苦境に音を上げた州・市は6月に入って段階的な経済再開に動き始めているものの、この期に及んでも州・市と国は背を向けたまま。ボルソナロ氏は18日、「いま一度はっきりさせておくが、最高裁は(4月に)新型コロナとの闘いの(最前線の)政策は市長と州知事に任せると判断した。私ができるのはお金を送ることだけ」と強調し、責任逃れを図った。
 新型コロナの全国研究者グループに所属するサンパウロ大学リベランプレト校医学部のドミンゴス・アウベス助教授はブラジルの現状について、「農村や奥地に十分な医療体制がなく、適切な治療が受けられない実態が露呈した。他国と比べ、若い貧困層の死者が多いことが浮き彫りになった」と分析。「感染の進行を管理するための効果的対策がほとんど講じられてこなかった上、事態が進むにつれ政争の材料にされてしまった」と政治の責任を厳しく追及した。
 さらに、「日本では政府が国民に強制することなく国民一人一人が行動を制し、一定の効果があった。他人に感染させないためマスクをする習慣も、抑止に大きく影響した」と指摘。経済や医療インフラ、国土の広さなどに加え、行動倫理の違いが命運を分けたとした。
 アウベス氏は「この状況下では感染ピークの予想を立てることはできない。7月中旬には死者が8万人に達するかもしれない」と悲観的な見方を示している。 (C)時事通信社