新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた中小企業や個人事業主を支援する「持続化給付金」をめぐり、高額手数料を取って書類作成を請け負う業者がインターネット交流サイト(SNS)で顧客を集めている。多くは給付金支給後に手数料を受け取る「成功報酬」をうたい、満額が受給できるよう書類改ざんを示唆する業者もいる。
 専門家は「迅速給付ありきで簡素化した申請手続きが、不正の温床になっている可能性がある」と指摘し、監視強化の必要性を訴えている。
 業者はツイッターで「持続化給付金案件」「お金に困っています」「返済不要」などのハッシュタグ(検索用の目印)を付け、顧客を募る。給付金を「報酬」と呼ぶ宣伝文句も踊る。
 業者の一人は「1000人ほどの利用者がいるが全員審査は通っている。(個人事業主の受給上限額の)100万円をもらえるようにプロが設定する」と話す。ある2種類の数値で「差額を出す」と手口を明かし、書類改ざんによる確実な受給をにおわせる。「手数料は成功報酬で受給額の6割」と強気の姿勢だ。
 勧誘方法も手が込んでいる。ユーチューブで「申請サポート」を宣伝する業者は、申し込みはLINEで受け付け、その後の顧客とのやりとりは、追跡が困難とされる通信アプリ「テレグラム」を利用する。
 この業者は「手数料は受給額の4割」と説明した上で、副業をしていないサラリーマンなど本来制度の対象ではない顧客も「こちらで確定申告の書類を作るので受給は可能」と断言する。顧客には「不正はしない」との誓約書を提出させ、自分への追及を防ぐアリバイ工作にも余念がない。
 不正受給が判明した場合、延滞金を加えた金額に2割を加算した額の返還などが求められるが、元国税調査官の根本和彦氏は「提出書類だけでは不正か判別できない」と制度の不備を指摘。「国税庁の過去の課税データを共有したり、調査官を派遣したりしなければ不正は後を絶たない」と話した。 (C)時事通信社