新型コロナウイルスの感染者数が累計で1000万人を超えた。米国に次いで多いのがブラジル、ロシア、インドの新興3カ国だ。これら3国に共通するのは、深刻なコロナ禍に見舞われる中、政府が感染拡大抑止よりも経済活動再開を重視する姿勢を示している点だ。
 ◇大統領が冷や水
 1日当たりの新たな感染者が4万人前後で推移するブラジル。3月下旬から州や市などが各国と同じように商業施設を閉鎖するなどの措置を取ったが、第1波がいつ終わるのか見通しすら立たない。原因としては、濃厚接触が多い文化や保健衛生環境の悪さ、ほとんどの地域で外出が「自粛要請」にとどまったことなどが挙げられるが、ボルソナロ大統領の存在も大きい。
 ボルソナロ氏は初期の段階で新型コロナを「ちょっとした風邪」と断言。「ロックダウン(都市閉鎖)の先にあるのは、失業と飢餓、貧困だ」などと規制に異を唱え続けてきた。貧困層が多い開発途上国であることを考えれば一面では正論だが、知事や市長が一丸となっている封じ込めに冷や水を浴びせ続けたことで、最も重要な局面で国民の間に混乱と分裂を生んだことは事実だ。
 規制開始から3カ月を経て、経済はボルソナロ氏の「予言」通り負荷に耐え切れなくなっており、州や自治体はなし崩し的に経済再開に動き始めている。
 ◇背景に支持率下落
 ロシアは、感染者数が多いのは「大量の検査を実施しているため」と説明する。これまでにロシアで行われた検査は1900万件に上る。プーチン大統領は23日の国民向けテレビ演説で「ロシアは検査数で世界の主要国をリードしている」と強調。「大量の検査によって(感染者を)早期に発見できる」と訴えた。
 新規感染者が増え続けているにもかかわらず、政権は5月12日に経済活動の制限を解除した。コロナ禍による経済の落ち込みで、プーチン氏の支持率が下落していることが背景にありそうだ。
 感染者が最も多い首都モスクワも今月9日に市民の外出制限を全面的に解除。プーチン氏の長期続投を可能にする憲法改正の全国投票が7月1日に行われることをにらんだものとみられるが、感染者が一層増加する恐れがある。
 ◇「人命優先」を転換
 インドでは3月末から厳しい外出禁止措置を伴う全土封鎖を実施してきたが、4月下旬以降は段階的に解除。今月に入り経済活動を大幅に認めた結果、1日当たりの新規感染者数が2万人近い日が続く。
 モディ首相は4月11日、それまでの「人命優先」から「人命も経済もどちらも大事だ」と方針を転換した。全土封鎖実施で大量の失業者が生まれ、人口の6割近くを占めるとされる貧困層を中心に生活苦を訴える声が増えたことが影響した。
 人口2800万人超の首都ニューデリーでは過去約2週間で感染者数は倍増し累計で8万人を超えた。デリー首都圏政府は、7月末までに最大55万人が感染する可能性があるとみている。 (C)時事通信社