新型コロナウイルスへの感染で免疫は成立するのか。成立した免疫はどの程度続くのか―。感染対策やワクチン開発にも影響を与える問いに対し、各国の研究チームが成果を積み上げつつある。
 米ラホヤ免疫研究所などのチームは6月、新型コロナウイルスに感染し、入院を必要とせず回復した20人のリンパ球「T細胞」に同ウイルスの成分を加えたところ、強い反応を示したとの研究結果をまとめた。
 米有力科学誌「セル」に掲載された論文によると、ウイルスを認識し、それに対抗する抗体作りを助ける「ヘルパーT細胞」の反応が全ての人に、感染した細胞を殺す「キラーT細胞」の反応が70%の人に見られた。全ての人の血液に、ウイルスの感染に必要なタンパク質に対する抗体も作られていた。
 さらに新型コロナの流行前に採取し保存していた血液を調べたところ、半数の人に新型コロナに反応するT細胞があることも明らかになった。チームは、普通の風邪の原因となるコロナウイルスへの感染でできた免疫が新型コロナに働く「交差免疫」の可能性を指摘する。
 千葉丈・東京理科大名誉教授は「新型コロナでは免疫が成立しないかもしれないと疑う声を否定する結果だ。交差免疫を示すT細胞を持つ人は、新型コロナに感染しても軽症で済む可能性もある」と評価。その上で、「広い交差免疫を示すT細胞を誘導するウイルスの成分を特定できれば、その成分を用いてワクチンを開発できると思われる。将来、感染力や致死性が高いコロナウイルスが誕生しても対応可能なはずだ」とみる。
 免疫が続く期間については、中国の重慶医科大などのチームが6月、米医学誌「ネイチャー・メディシン」に、患者が回復した後、数カ月で抗体が急減したと報告した。
 免疫がどの程度続くかは、集団免疫やワクチン開発の成否を決める大きなポイントだが、この点についてはまだ分からないことが多い。抗体が検出されなくなった後も、ウイルスを記憶したT細胞や抗体を作るリンパ球「B細胞」が一定期間残り、次の感染時に即座に働く可能性はあるが、比較的短い期間で免疫が失われる恐れも否定されていない。
 北海道大の村上正晃教授は「免疫は少なくとも数カ月は続くだろう。そうであれば、ワクチンの開発は可能なのではないか」と分析している。 (C)時事通信社