新型コロナウイルスの流行で一時、中国に次ぐ「中心地」となった欧州。感染者数は4月初めをピークに沈静化に向かい、各国は5月以降、感染封じ込め措置を段階的に緩和してきた。6月には欧州連合(EU)域内の移動制限がおおむね撤廃され、今月からは一部で日本など域外からの観光客受け入れも解禁。「新たな段階」(EUのミシェル大統領)に入り、「緩み」を警戒しつつ第2波防止と経済再建の両立という難題に挑む。
 ◇日本受け入れは14カ国
 EUは先月末、第三国からの観光客や出張者らの渡航を禁じる措置を徐々に解除することに合意した。夏季休暇を控え、苦境に陥る観光業の復活を急ぐ狙いだ。
 ただ、感染再拡大を懸念する声も根強く、7月1日付で解禁対象としたのは日本など15カ国のみ。感染収束が見えない米国やブラジルなどは除外された。「警戒を怠ってはならない」(ミシェル氏)と対象リストは2週間ごとに見直す予定で、禁止措置が再導入される可能性もある。
 さらに実際に解禁するかどうかは、EU加盟国か、移動の自由を認める「シェンゲン圏」の計30カ国それぞれの判断。時事通信の集計(7日時点)では、日本からの観光客受け入れを再開したのはフランスやスペインなど14カ国にとどまり、各国の温度差が浮き彫りとなっている。
 ベルギーなど解禁自体を見送る国もある上、再開する国でもドイツは日本や韓国を対象外に。イタリアは2週間の自主隔離を課すほか、ギリシャは事前手続きを義務付けるなど、足並みはそろわず、混乱が生じかねない状況だ。
 欧州内に移動の自由が戻ったことも事態をより複雑化している。例えば制限のないオランダに空路で入り、車や鉄道で独国境を越えても「陸路での入国には新型コロナに関連した審査は行っていない」(独内務省)とされ、渡航制限を徹底できるかは不透明だ。
 ◇再封鎖の動きも
 欧州内でも、主要各国では今なお1日当たり数百人の新規感染者が出ており、人の活動の活発化は感染リスクの拡大と隣り合わせだ。
 ドイツでは各種制限がほぼ撤廃された6月、各地の食肉工場で集団感染が相次いで発覚した。特に大規模だったのは西部ギュータースロー郡の工場で、1500人超の感染が発生。同郡は4月にドイツで段階的な制限の緩和が始まって以降、都市封鎖が再開された初のケースとなった。
 スペインでも北東部カタルーニャ自治州で今月4日、西部リェイダを封鎖。5日には北西部ガリシア自治州の北部マリーニャも封鎖に追い込まれるなど、欧州全体に警戒感が広がっている。
 EUはマスクなど医療物資の共同備蓄の整備を進めているが、15日には欧州委員会が新たな第2波対策を発表する方向だ。
 一方、英国では今年初の真夏日となった6月下旬、南部の海浜保養地ボーンマスの砂浜は海水浴客でごった返し、保健当局者は肝を冷やした。中部レスターでは感染者の増加が止まらず、小売店が再び閉鎖された。
 英国の新型コロナ対策策定で主要な役割を担う非常時科学諮問グループのジェレミー・ファラー氏はBBC放送で、「第2波は10月か11月に来るだろう」と予測。感染者と接触した人の追跡システムを整えるなど、早期の対策強化の必要性を訴えている。 (C)時事通信社