新型コロナウイルスの治療薬候補「アビガン」について、患者に投与し検証する特定臨床研究を実施した藤田医科大(愛知県豊明市)は10日、ウイルスの消失が早まる傾向は見られたが、統計上意味のある効果は確認されなかったと発表した。
 臨床研究は無症状か軽症の患者が対象。アビガンを初日から服用する36人と6日目から服用する33人で経過を比べた。6日目の朝の時点でウイルスが検出されなかった人の割合は、初日から服用したグループで66.7%だったのに対し、未服用のグループは56.1%にとどまったものの、統計上は意味のある差とは言えなかった。
 熱が下がるまでの期間も初日から服用したグループの方が短かったが、統計上の差はなかった。
 副作用では、尿酸値の上昇が全体の84.1%で確認された。
 研究を取りまとめた同大の土井洋平教授(微生物学)は、患者の数が多ければ統計上の差が確認できた可能性があるとの見方を示した。
 アビガンをめぐっては、製造元の富士フイルム富山化学(東京)も臨床試験(治験)を進めているが、患者数が減少したため計画が遅れている。
 安倍晋三首相は当初、5月中の薬事承認を目指す意向を表明。厚生労働省は治験のデータがなくても特定臨床研究などの情報を基に承認申請ができるとの通知を出していた。
 ◇重症化抑制、評価できず
 植田真一郎・琉球大教授(臨床薬理学)の話 今回の研究では重症化の抑制、症状改善までの日数といった重要な項目を評価していないため臨床的な有効性は不明で、これだけでは薬事承認は難しいと思われる。ウイルス量の減少についても、はっきりした有効性は示せなかった。患者数を増やせば明らかになるという問題ではない。 (C)時事通信社