医療従事者や患者の院内感染を避ける観点からオンライン診療が注目されている。暫定措置ではあるが規制が緩和され、使ってみると双方にメリットがある状況が見えてきた。感染の収束が見通せない中、オンライン診療を特別扱いするのではなく、対面診療と同等に扱う時期にきている。国が責任を持って推進すべきだ。
 これまで広がらなかったのは使い勝手が悪いからだ。実際の医療現場で扱える疾患は限られ、医師のつくったオンライン診療計画への同意が条件となっている。医療機関からすれば、管理料を算定できない疾患では運用コストを回収できず、事実上、病名で縛られている面もある。
 感染の流行で通信機器を使った診療制限が緩和されたが、あくまで暫定措置にすぎない。現実に発熱患者を断る病院やクリニックもあり、秋以降にインフルエンザが流行すれば新型コロナウイルスとの見分けはますます困難になる。この点から、まずは発熱患者のオンライン診療を恒久的な制度にできるかどうかが一つの論点だ。
 本当の意味で便利なオンライン診療にするには電子処方箋の運用改善も必要だ。現在は患者が紙の処方箋を持参しなければ薬をもらえないが、メールやファクスのみで扱えるようにすればいい。
 システム整備や運営コストに費用がかさむため、大多数の医療機関が経営判断として導入に踏み切れていない。半額でも3分の1でもいいので国が財政支援し普及のスピードを上げてほしい。マイナンバーカードの読み取り端末の整備に使う医療情報化支援基金の活用も検討すべきだ。一気に広がらなければ価値は生まない。アフターコロナの新しい生活様式に向け積極的に取り組むことを期待する。
 梅村 聡氏(うめむら・さとし)大阪大医学部卒。同大付属病院内科医を経て、07年参院選大阪選挙区で初当選。当選2回。45歳。 (C)時事通信社