新型コロナウイルス感染者が東京都を中心に急増する中、22日に始まる政府の旅行需要喚起策「Go To トラベル」キャンペーンに批判が高まっている。首都圏の観光客が地方を訪れ、感染が広がる恐れが強いからだ。専門家はキャンペーンの延期や地域圏内の移動に限った実施を訴えている。
 政府はキャンペーンを8月上旬に始める方針を、緊急事態宣言が解除された5月下旬に固め、今月10日には22日に前倒しすると発表した。感染者が増える中、厚生労働省に新型コロナ対策を助言する専門家組織の脇田隆字座長(国立感染症研究所長)は14日、「東京から地方への感染は制御可能な状況だ」として、中止・延期に否定的な見方を示した。
 しかし、都内の新規感染者は15日も100人を大きく超え、都は警戒レベルを4段階で最も深刻な「感染が拡大している」に引き上げた。東京慈恵会医科大の浦島充佳教授(予防医学)は「この1~2週間で状況が大きく変わった」と強調。「この状況が続けば、首都圏からの移動によって地方に新型コロナが拡大するリスクは高い。私だったら延期を考える」と話した。
 政府は、宿泊施設での検温実施や鉄道・バス内の換気徹底といった感染防止策を求める方針。浦島教授は「国が予定通りキャンペーンを始めるなら、私たち一人一人が感染防止策を徹底するしかない。手洗いやマスク着用に加え、特に移動や食事の際に換気し、密室を避けることを徹底してほしい」と呼び掛けた。
 東京医科大の浜田篤郎教授(渡航医学)は「都内の流行は『第2波』に近い。人の動きを今加速するのはよくない」とした上で「経済活動再開に向けたキャンペーン自体は必要で、今すぐ中止する必要はないが、例えば1週間延期するとか少し様子を見た方がいい」と指摘した。
 浜田教授は進め方についても「全国一律で実施するのではなく、例えば、感染者数が少ない東北圏内や四国に限定して始めるといった方法も考えるべきだ」と話した。 (C)時事通信社