【ロンドン時事】新型コロナウイルスの被害がアフリカで最も深刻な南アフリカで、ロックダウン(都市封鎖)緩和後に感染が急増、事態悪化へ懸念が強まっている。政府は規制を再開させて対策に努めるが、累計感染者数は30万人を超え、世界で8番目に多い。「嵐が来ている」(ラマポーザ大統領)と嘆く感染の勢いを止められるか、正念場が続く。
 コロナ禍は、南アを含め新興5カ国(BRICS)の被害が大きい。感染者が200万人近いブラジルが米国に次ぎ世界で2番目に多い。3番目のインドは90万人、4番目のロシアも70万人を超えている。
 南ア政府は3月、国内で感染が広がり始めた初期の段階で厳格な外出規制を全土に導入、治安部隊を動員して違反者の取り締まりに当たった。決して油断していたわけではない。こうした措置が奏功し一度は感染がある程度抑えられ、政府は5月から徐々に規制を緩和、経済活動を再開させた。
 しかし、その後、最大都市ヨハネスブルク周辺地域を中心に感染が爆発的に増えた。死者も4000人を超えている。判明した感染者数はアフリカ大陸全体の半数近くを占める。南アの死者は「年内に5万人に達する」と警戒する推計もある。
 国民は危機感を募らせている。報道によると、ヨハネスブルクのウィットウォーターズランド大のシャビル・マディ教授(ワクチン学)は「感染の急伸が起きている。とても恐ろしい」と述べた。
 焦る政府は12日、夜間の外出や酒類の販売禁止を発表。公共の場でのマスク着用義務を含む規制を改めて導入した。緊急事態宣言を8月15日まで延長するなど、感染拡大阻止に躍起になっている。ただ、患者急増で医療スタッフや病院のベッド不足も伝えられるなど抑制の兆しは今のところ全く見えていない。 (C)時事通信社