新型コロナウイルスの感染が再拡大する中、警視庁と東京都は接待を伴う飲食店などを対象に、風営法に基づく立ち入り調査を実施した。同法の適用については国がお墨付きを与えているが、警察関係者や専門家からは「法の目的に反する」などと戸惑いや疑問の声が上がっている。
 菅義偉官房長官は先月19日、フジテレビの番組で「ホストクラブやキャバクラには風営法で立ち入りできる」と発言。感染者が相次ぐ「夜の街」での感染拡大を防ぐため、同法に基づく警察の立ち入り調査を全国で実施する考えを示した。
 小池百合子都知事の要請を受け、警視庁は同24日夜、歌舞伎町(新宿区)と池袋駅周辺(豊島区)にあるホストクラブやキャバクラに立ち入りを行い、同行した都職員が感染予防策の徹底を呼び掛けた。
 これに対し、警察関係者からは「風営法は立ち入り調査の根拠にならないのでは」と異論が噴出。ある捜査関係者は「新型コロナ対策を実施しているかの確認は目的外だ」と話した。
 「立ち入りをした警察官が感染したら困る」との本音も漏れる。同庁は担当課以外からも応援を出して対応し、立ち入りを行った警察官は念のため1週間の在宅勤務とした。
 歌舞伎町でホストクラブなどを経営する「Smappa! Group」の手塚マキ会長は「適正に営業している店も風営法に違反したと見られてしまうのでは」と懸念する。日本水商売協会の甲賀香織代表理事は「3密状態の飲食店もあるのに、なぜ風営法の対象店だけなのか」と訴えた。
 風営法に詳しい若林翔弁護士は「同法に基づく立ち入りは、必要最小限度しか認められていない」と指摘。「今回の立ち入りは真っ正面から法の目的に反しており、新型コロナを理由とした権力の乱用につながりかねない」と警鐘を鳴らした。 (C)時事通信社