【台北時事】台湾の蔡英文総統は10日、訪台中のアザー米厚生長官と会談した。蔡氏は冒頭のあいさつで、世界で感染がなお拡大している新型コロナウイルス対策で米台の協力が進む中、「長官の訪台は双方の関係にとって大きな前進だ」と強調。米国との蜜月ぶりをアピールした。中国の反発は必至だ。
 米閣僚による訪台は6年ぶり。アザー氏は1979年の米台断交以降、訪台した最高位の閣僚となり、台湾外交部(外務省)は「歴史的な訪問」と歓迎ムードを前面に押し出した。
 中国側は米台の公式の往来に「断固反対」(外務省)と表明している。米大統領選を前に、トランプ政権は中国との対決姿勢を強めており、米中対立の一層の先鋭化につながる恐れがある。東アジア情勢への影響は大きい。
 アザー氏は蔡氏との会談で、「台湾の新型コロナ対策は世界で最も成功した」と称賛。その上で、「医療や公衆衛生分野で、どのように協力強化を進めるのか協議するために台湾に来た」と述べた。
 アザー氏は新型コロナ対策本部で陣頭指揮を執る陳時中・衛生福利部長(厚生労働相)とも面会。医療や公衆衛生分野での協力強化に向けて米台が署名した合意文書では、世界の公衆衛生についても協力を進めると確認した。米国が脱退の意向を表明している世界保健機関(WHO)や、トランプ政権が新型コロナの世界的流行の元凶として批判の矛先を向ける中国をけん制する内容となった。
 アザー氏と陳氏は、米台の衛生当局同士の協力拡大でも合意。今後、人的交流などを積極化させる見通しだ。アザー氏は滞在中、先月30日に死去した李登輝元総統を弔問する予定。 (C)時事通信社