加藤勝信厚生労働相は12日午前、原爆投下直後に降った「黒い雨」をめぐる訴訟での控訴後に厚労省内で取材に応じ、一審判決について「これまでの最高裁判決と異なり、十分な科学的知見に基づいたとは言えない」と述べた。その上で、黒い雨が降ったとされる援護対象区域の拡大を視野に、検証を始める方針を明らかにした。
 加藤氏は、これまでに蓄積された黒い雨に関する資料やデータを、最新の科学技術を使い検証すると説明。「対象の方々の高齢化もかなり進んでいる。スピード感を持って作業をしたい」と述べた。
 一方、同日に記者会見した広島市の松井一実市長は、控訴について「原告の気持ちを思うとつらい」と述べ、苦渋の決断をにじませた。
 松井市長によると、11日に加藤厚労相から検証の方針を伝えられ、控訴判断受け入れを決めたという。松井氏は「国に訴訟とは別途で、黒い雨を体験した方の援護を早急に進めることを強く求めたい」と述べ、国の検証に市も参加し、年度内に方向性を示すよう求めていく考えを示した。 (C)時事通信社