【ワシントン時事】トランプ米大統領は23日、新型コロナウイルス感染症から回復した患者の血液成分を利用する治療法を、米食品医薬品局(FDA)が緊急認可したと発表した。回復患者の体内にできた免疫や抗体を生かす手法で、他のウイルス治療で以前から使われている。11月の大統領選までにワクチンの実用化が困難とみられる中、トランプ氏は代替の療法として期待を寄せる。
 FDAが認可したのは、新型コロナから回復した患者の血液のうち赤血球などの血球を取り除いた成分「血漿(けっしょう)」を重症患者に投与する治療法。日本の近代医学を築いた北里柴三郎が1890年に確立した破傷風菌での「血清療法」に由来するとされる。
 新型コロナでは、中国などの研究チームが血漿による治療法の成果を報告している。トランプ氏は記者会見で「安全で効果的な手法だ。歴史的な発表になる」と強調した。FDAがこれまでにコロナ治療に関して緊急使用許可を出したのは、米バイオ製薬大手ギリアド・サイエンシズの治療薬「レムデシビル」のみだった。
 米国の新型コロナによる死者数は世界最多の17万人超に上る。トランプ大統領のコロナ対策をめぐっては不手際も指摘されており、再選を目指す上で大きな逆風となっている。
 トランプ氏は22日、ツイッターで、FDAはワクチンの研究や承認を遅らせて同氏の再選を妨害しようとしていると訴えた。治療薬などの認可に慎重なFDAを「ディープステート(闇の政府)」と呼び、いら立ちを募らせていた。 (C)時事通信社