米欧の巨大投資ファンドが日本企業への投資を強化している。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、製造業を中心に大規模な事業再編が増えると見込んでいるためだ。成長が停滞する事業を抱える日本企業は多いとされ、外資が受け皿となって子会社や事業の売却を後押ししそうだ。
 「危機からデジタル化などの変革が進む」。米カーライル・グループの大塚博行日本副代表はこう強調する。企業で非中核事業を売却する動きが加速するとみている。
 カーライルは今年に入り、これまで注力してきた中堅企業に加え、数千億円規模の大企業への投資を目標に掲げた。複合企業が持つ子会社・事業部門の買収を模索している。外出自粛の影響が直撃した外食・観光業でも「良い経営資源を持つ企業であれば支援したい」(大塚氏)という。
 2018年に日本企業投資部門を発足させた米ブラックストーン・グループは年間1000億円規模を日本に投資する方針。同部門の坂本篤彦代表は「良い案件があれば(方針以上の規模でも)積極的に投資したい」と語り、医薬品に加えて物流サービスと、危機後の回復を見込む訪日客関連事業を注視する分野に挙げた。武田薬品工業は24日、大衆薬子会社をブラックストーンに売却すると発表した。
 「スシロー」買収を手掛けた英・欧州系ペルミラの藤井良太郎日本代表は「(コロナによる)経済的打撃は時間をかけて複合的に出る」と分析。流通・ヘルスケアなどへの投資機会を探る。日産自動車系の部品メーカー、カルソニックカンセイ(現マレリ)を買収した米コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)も、日本を重要市場に位置付ける。
 日米欧の金融緩和政策による大量の資金供給を受け、ファンドにとって資金を調達しやすい環境が続く。金融関係者は「米欧ファンドの出番が増えそうだ」と指摘。事業再編の受け皿として存在感が増すとみている。 (C)時事通信社