安倍晋三首相の辞意表明で、社会保障制度改革への影響も予想される。社保改革をめぐっては、75歳以上の後期高齢者が窓口で支払う医療費負担増をめぐる議論が懸案となっている。新型コロナウイルス対応に追われ議論が停滞する中、首相交代により道のりは一層険しさを増しそうだ。
 安倍政権は「全世代型社会保障」を掲げ、首相自身が議長を務める形で検討会議を昨年9月に設置。昨年末の中間報告では、75歳以上の窓口負担について現在の原則1割から、一定以上の所得がある場合は2割に引き上げる方針を明記し、対象者の線引きの議論が残されていた。
 ただ新型コロナの感染拡大を受け、検討会議が当初予定していた今夏の最終報告取りまとめは年末に先送りに。こうした中、安定した政権基盤を背景に負担増の議論に取り組んできた首相が辞意を表明したことについて、厚生労働省幹部は「政権が進めていた政策でトップが代わり、影響がないとは言えない」と語る。
 衆院解散を含め今後の政局次第では、次の政権が窓口負担の引き上げに踏み込みにくくなることも予想される。政府内では「コロナ禍での負担増は国民の反発を買うとみて、結論を先送りする可能性もあるのではないか」(関係者)との見方も出ている。 (C)時事通信社