新型コロナウイルスの緊急経済対策で配られた特別定額給付金の申請が、大半の自治体で締め切られた。1人10万円の「臨時収入」はどう使われたのか。消費や寄付の受け皿となることをもくろんだ事業者らからは、悲喜こもごもの声が聞かれた。
 「給付金は辞退せず、寄付して必要な人に届けよう」。そう呼び掛けた「コロナ給付金寄付プロジェクト」には、これまで約4万8000人から総額2億6000万円以上が寄せられた。検索大手「ヤフー」のネット募金やふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」から受け付け、既に計約1億9000万円の助成金を打撃を受けた医療機関や中小企業、劇場などに配った。
 サイトには医療従事者らに向けた応援メッセージが並ぶ。関連して行ったネット調査では、回答者の27.9%が「給付金の一部を寄付したい」とし、特に20代の意識が高かったという。支援先選定などを行う公益財団法人「パブリックリソース財団」の岸本幸子専務理事は「大変大きな額で、日本に寄付文化が広がるきっかけになった」と感謝した。
 一方、「残念ながらもくろみは外れました」と話すのは、小田原箱根商工会議所の井上経・経営企画グループ課長。売り上げが減少した地元事業者の支援のためオンライン百貨店を立ち上げ、給付金を意識して10万円の商品を多数用意した。
 鮮魚や野菜など特産品のセットだけでなく、相模湾で魚を釣り、加工まで体験できる「世界に一つだけのかまぼこ」などアイデアを凝らした商品をそろえたが、「話題にはなっても、ほとんど売れなかった」という。開設の立ち遅れやネット決済不可などサイトの不備は認めつつ、「生活消費を超える盛り上がりは感じなかった」と落胆した。
 給付金は投資にも回ったとみられる。楽天証券の取引口座の新規開設数は昨年を大きく上回り、今年1~6月は65万件と半期で過去最多となった。ただ、同社の窪田真之チーフ・ストラテジストは「内容は積み立て投資が大半。もうけようというより、将来の不安に備えた人が多かった」と分析。銀行預金残高が6月に最多を更新したことを挙げ、「使う気になれず、手を付けていない人が大半では」と指摘した。 (C)時事通信社