【ワシントン時事】トランプ米大統領の新型コロナウイルス対策顧問を務めるスコット・アトラス医師が、国民の多くが感染して免疫を持つ「集団免疫」を通じたウイルス封じ込めを提唱している。米紙ワシントン・ポスト(電子版)が8月31日付で報じた。集団免疫は成立までに多数の犠牲者を出す恐れがあり、専門家から懸念の声も上がっている。
 複数の当局者や専門家の話として同紙が報じたところによると、8月に顧問に就いたアトラス氏は、ウイルス感染で重症化しやすい高齢者の施設などで予防策を講じる一方、社会的距離や経済活動規制を緩和すべきだと主張している。ウイルスに比較的強いとされる若者や健康な人に自由に活動させることで、規制による経済の落ち込みを抑えながら、免疫を持つ人を増やすのが狙いだ。
 経済や学校の早期再開を主張するトランプ氏は、もともと集団免疫による感染防止に前向きといい、先週の共和党全国大会での大統領候補指名受諾演説でも「高齢者らを守りつつ、経済活動の再開を進める」と宣言。疾病対策センター(CDC)も最近、感染者と濃厚接触しても症状がなければ「必ずしも検査は必要ない」とする方針を打ち出した。
 だが、感染防止策を講じなかった場合、集団免疫が成立するまでに米国内で数十万人が死亡するとも言われる。ニューヨーク大のローマー教授は同紙に「高齢者施設の入所者を守ったとしても、多くの人が命を落とす」と懸念を表明。ファウチ国立アレルギー感染症研究所長ら政府の新型コロナ対策本部の専門家も、アトラス氏の主張に反対しているという。 (C)時事通信社