厚生労働省が4日公表した全国の待機児童は1万2439人と過去最少になった。しかし、2020年度末にゼロにするという政府の目標達成は難しい状況だ。加藤勝信厚労相は同日の会見で、「なかなか厳しい。21年度以降、さらに加速度的に(待機児童の)解消を図っていきたい」と述べ、達成が事実上先送りとなる見通しを示した。
 安倍政権は「一億総活躍社会」を掲げ、女性の社会進出を支える待機児童対策に力を入れてきたが、保育士の確保や処遇改善が追い付いていない。政府は当初、17年度末の解消を目指したが、達成できず先延ばしにした経緯がある。16年には匿名ブログの「保育園落ちた日本死ね」という書き込みが注目を集めた。
 政府が17年に策定した「子育て安心プラン」では、18年度からの3年間で待機児童を解消すると明記。厚労省は待機児童の多い自治体に直接出向き助言してきたほか、保育の受け皿確保のため予算を措置してきた。
 一方で女性の就業率は13年の67.7%から20年は77.7%に上昇。政府は地方創生の総合戦略で「25年に82%」の目標を掲げており、保育所の申込者は都市部を中心に今後も増えるとみられる。
 政府は20年度末までに保育の受け皿を拡充して対応する方針だが、新型コロナウイルスの感染拡大がブレーキとなっている。同省によると、自治体からは新型コロナの影響で、保育所整備の工期の遅れや保育士の人材確保が難しいとの報告が寄せられているという。
 同省の18年時点の調査では、保育所などで働く保育士は約40万人。入所の申込者の多さを考慮すると人員増が必要だが、現場からは残業の多さや給料の安さを指摘する声が上がり、有資格者を満足に確保できていないのが現状だ。次期政権でも待機児童ゼロに向け、保育従事者の処遇改善や働き方改革が大きな課題となる。 (C)時事通信社