遺伝子を効率良く改変するゲノム編集をめぐっては、中国の研究者がヒトの受精卵を改変して双子を誕生させたと2018年に公表し、国際的な批判が起きた。現在の技術水準では目的外の遺伝子も変化させてしまうなど、安全性に懸念があるためだ。
 中国の研究者は、エイズウイルス(HIV)への感染を防ぐための改変だと主張。しかし、感染を避ける手段は他にも存在するほか、目的外の遺伝子が改変され、次世代以降にも伝わる恐れがあると指摘された。
 改変した受精卵を用いた妊娠、出産は欧州などの数十カ国が法律で禁じているが、国内には研究を禁じる指針があるのみだ。双子誕生を受け、厚生労働省の専門委員会は1月、現時点では法規制が必要だとする報告書をまとめたものの、具体的な議論は進んでいない。
 また、政府は19年に生殖補助医療に関する基礎研究での受精卵改変を容認したが、研究計画はこれまで申請されていない。
 受精卵のゲノム編集には、重い病気の遺伝を防ぐとの期待がある。半面、親が望む資質を持つ「デザイナー・ベビー」をつくることや、障害や病気のある人を否定する優生思想につながりかねないとの懸念も上がっている。 (C)時事通信社