【パリ時事】欧州で新型コロナウイルスの感染が再び拡大し、規制再強化の動きが急速に進んでいる。フランスでは17日以降、パリなど複数の都市で夜9時~翌朝6時の外出が禁止される。英国では一部地域でパブやバーが休業となり、ベルリンでは夜間の飲食店や商店の営業が停止。スペイン政府は首都マドリードを対象に非常事態を宣言し、市民の移動を制限している。
 欧州は今や一部でクラスター(感染者集団)が発生している状況ではなく、首都をはじめ人口密集地で感染者の増加が止まらない。各国政府の危機感は強い。
 マクロン仏大統領は14日、地元メディアとのインタビューで「フランス中にウイルスは存在し、懸念される状況にある」と警告。病床に余裕がなく、医療従事者も疲弊していると指摘し「より強力な手段を講じる必要がある」と強調した。
 夜間外出禁止の対象となるのは首都圏のほか、マルセイユやリヨンなど8都市圏。午後9時以降は域内の全ての飲食店や映画館、劇場が営業を終了する。
 マクロン氏は規制強化の理由について、レストランでの飲食や知人同士の会合が感染拡大の主な原因になっていると説明した。ただ、隣国スペインで実施されている都市間の移動制限までは設けない。
 スペイン政府は9日、マドリード自治州政府の反対を押し切って15日間の非常事態を宣言。市をまたぐ不要不急の移動を原則禁止した。
 英国では、西部リバプールを中心に感染が急速に広まっている。政府は感染程度に応じて各地域を3段階に分類。最も警戒度の高い地域では、酒場は閉鎖され、世帯間交流も禁止だ。
 ベルリンでは、夜間の飲食店や商店の営業、さらに酔って騒ぐ原因となる酒の販売自体が禁止された。しかし、反発する動きも根強く、現地からの報道によれば、ベルリンのミューラー市長は「楽しく騒いでいる状況ではない」と危機感を訴え、理解を求めるのに必死だ。
 欧州各国は最初に感染が拡大した3月、相次いで都市封鎖(ロックダウン)に踏み切った。その後、状況は改善し、規制は一部緩和された。
 しかし、夏の休暇で人の移動が増え、最初の感染規模を上回る「強い第2波」(カステックス仏首相)に直面している。いずれの国も、これ以上経済に打撃を与えるロックダウンは「正しい方向ではない」(ジョンソン英首相)と避けたい考えだが、小出しの対策で状況を徐々に悪化させる悪循環が警戒されている。 (C)時事通信社