コンピューターゲームで勝敗を競う「eスポーツ」。オンラインでもプレーできるため、新型コロナウイルスの影響が続く中で関心を集め、介護施設や病院のリハビリにも活用されている。依存症の懸念がある一方、「新たな形のスポーツ」として健康効果を探る研究が進む。
 筑波大は7月、サッカーゲームを使ったオンラインのeスポーツ大会を開催。同大の若手教員チームは、参加学生13人に心拍センサーを装着し、試合中に唾液を採取するなどして、プレーが健康に与える影響を調べた。
 研究を主導した松井崇助教(体育科学)によると、平時に毎分平均60~70回だった心拍数は、対戦中はウオーキングをした場合と同程度の100回以上に上昇。試合直後には、適度な運動を行うと分泌される男性ホルモンのテストステロンの唾液中濃度が上がったことも確認した。
 心拍数を毎分100回程度引き出す運動は、ダイエットや脳機能向上の効果をもたらすとされる。松井助教は「eスポーツの健康へのプラス面を期待したくなる」と強調。運動時と似た反応が確認されたことについて、「コロナ禍の中、新たな形のスポーツとして社会に定着できるのでは」と期待を寄せる。
 一方、健康への懸念もある。松井助教によると、欧米の研究者らは「多くのプレーヤーが首や腰の痛み、眼精疲労を感じている」と指摘。世界保健機関(WHO)は、日常生活に支障が出るほど過度に依存する状態を「ゲーム障害」と呼び、病気の一つと位置付けている。
 業界団体も対策に乗り出しており、コンピュータエンターテインメント協会(CESA)や日本eスポーツ連合(JeSU)などは有識者を交え、ゲーム障害に関する全国調査をしている。
 松井助教は「健康問題の指摘はあるが、『だからどうすれば』という視点はまだない。研究を重ね、新しい可能性を示していきたい」と話している。 (C)時事通信社