【パリ時事】新型コロナウイルスワクチンの実用化が近づいていることを受け、フランスのマクロン大統領が「ワクチン外交」に乗り出した。12日に大統領府で行われた「パリ平和フォーラム」で、政府として1億ユーロ(約120億円)を拠出すると表明。ワクチン争奪戦が予想される中、貧困国を含む世界全体での公平な流通を率先して訴え、影響力の強化を狙っている。
 マクロン氏はフォーラムで、ワクチンは「世界的な公共財産」であり、「一部の人々を見捨てるならウイルスには勝てない」と強調。「最もワクチンを必要としている貧しい国に行き渡るよう十分な量を生産できなければ、不平等がさらに拡大するだろう」と述べ、各国の連携を訴えた。
 フォーラムには欧州連合(EU)のミシェル大統領やセネガルのサル大統領らが出席したほか、カナダのトルドー首相ら各国首脳もビデオ形式で参加。ワクチン生産と公平な流通を支援するため、総額5億ドル(約530億円)超を拠出する方針について協議した。パリジャン紙によると、スペインや英国も資金を拠出する意向。米国やロシアは加わっていない。
 最初に感染が拡大した今春、中国は各国に医療物資や医師団を送る「マスク外交」を展開。欧州では、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に参加するイタリアが大規模な支援を受けた。一方でフランスではマスク不足が深刻化し、政権不信につながった。マクロン氏にはワクチンの公平な流通を訴えることで、マスク不足の二の舞いを避けたい思惑もあるとみられる。
 フォーラムの顧問はパリジャン紙に、「ワクチン入手は猛烈な競争となる。今春のような混乱を回避するため、多角的なメカニズムが重要だ」と指摘した。 (C)時事通信社