【ワシントン時事】トランプ米大統領が大統領選の敗北を認めず、政権移行の手続き着手を拒んでいることで、新型コロナウイルス対策に支障が出かねないと懸念する声が高まっている。米国内の感染者はこのところ、過去最悪のペースで増加。追加経済対策をめぐる議会審議の停滞など連邦レベルの政治対立が続く中、独自の規制強化に踏み切る州や自治体が相次いでいる。
 「(現政権と次期政権が)連携しなければ、さらに多くの死者が出かねない」。大統領選の勝利を確実にしたバイデン前副大統領は、16日の記者会見で、政権移行着手を拒否し続けるトランプ氏に「来年1月20日(の次期政権発足)までに、もう少し賢明になってくれるよう望む」と苦言を呈した。
 とりわけ円滑な政権移行を求められるのが、ワクチンの配布だ。米企業が相次いで臨床試験での好結果を公表したワクチンは、年内にも米当局の緊急使用許可が下りる見通し。現政権の計画では、国民に広く普及するのは来年4月ごろで、同1月の次期政権発足までに新旧政権の引き継ぎが順調に行われなければ、遅れが生じかねない。
 米国内の新型コロナ感染者数は累計で1100万人を超え、24万人以上が死亡した。9月に3万人前後にまで下がった1日当たりの新規感染は、このところ15万人前後に急増。米ワシントン大の保健指標評価研究所(IHME)は、次期政権発足までに死者が36万人に上ると予想している。
 こうした中、東部ペンシルベニア州フィラデルフィア市当局は16日、「世帯間のウイルス感染を防ぐ必要がある」として、家族以外による屋内での集まりを規模や場所を問わず禁止すると発表。西部カリフォルニア州のニューサム知事は同日、経済活動再開を中断し、州内58郡のうち40郡で屋内の飲食サービス提供を禁止するなどの対策を表明した。
 一方、トランプ氏は16日のツイッターで、大統領選での「不正」を言い立て「勝ったのは私だ」と主張。新型コロナに関しては「欧州諸国が中国ウイルスで悲惨な目に遭っているのに、偽ニュースメディアは報じたがらない」と投稿したが、米国内の感染拡大には触れていない。 (C)時事通信社