新型コロナウイルスの感染が急拡大し、一部地域では医療提供体制が危機的な状態に近づいている。厚生労働省の専門家組織は24日夜、北海道や首都圏などの一部では「このままの状況が続けば、医療提供体制に重大な影響が生じ、助けられる命が助けられなくなる」と分析。メンバーの一人は「今の診療体制が2週間後も維持できるかの見通しは立てられない。国と現場には、危機感をめぐり大きなギャップがある」と指摘する。
 厚労省によると、コロナ患者用病床の使用率(18日時点)は北海道や東京など9都道府県で25%を超え、感染拡大が4段階中2番目に深刻な「ステージ3」の水準に達した。重症者用も、東京、大阪、沖縄の3都府県で25%を超えた。
 病床逼迫(ひっぱく)の度合いは既に危険な水準とも言える。専門家組織のメンバーは「感染の拡大スピードが想像以上に速い。病床をめぐる状況も刻一刻と変わっている」と強調。「新型コロナ診療と通常医療の両立が2週間もたたないうちに厳しくなる恐れがある」と嘆いた。
 国は24日、「Go To トラベル」事業で札幌、大阪両市を目的地とする旅行を一時除外すると表明した。このメンバーは「除外地域について、国は『都道府県知事の意向も尊重する』などとしているが、そんな暇はない」と見直しの遅れを批判する。
 「医療提供体制の現状について、国と現場の考えにかなりの差があり、(24日夜の)会合は悲痛な雰囲気だった」と振り返った上で、「今は日本全体での移動抑制や飲食店の営業時間短縮を考えるべきだ。それでも間に合わないかもしれない」と警鐘を鳴らした。
 専門家組織の別のメンバーは「病院というのは、簡単に病床を増やせるものではない。仮に病床があっても、マンパワー不足で診療ができない所もある。政府が考えている状況より医療現場の現状はもっと深刻だ」と指摘した。 (C)時事通信社