【ブリュッセル時事】欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長とミシェル大統領の就任から12月1日で1年となる。最大の課題となった新型コロナウイルス対応では加盟国間の協調に苦慮しており、試行錯誤が続く。
 ◇再び足並み乱れ
 「夏(の経験)から学び、同じ失敗を繰り返してはならない」。フォンデアライエン氏は25日の欧州議会で、冬季休暇へ各国が封じ込め措置の緩和を急げば感染「第3波」を招くと警告。「加盟国の連帯が問われる」と慎重な対応を訴えた。
 しかし、フランスなど一部は既に制限緩和を発表。集団感染が危惧されるスキー場をめぐっては、年末年始の一斉閉鎖を唱えるドイツやイタリアにオーストリアやフィンランドが反発するなど再び足並みが乱れている。
 EUではコロナ危機が本格化した3月、各国が相次いで隣国との国境を封鎖。EUの根幹である「移動の自由」が機能不全に陥り、混乱を生んだ。欧州委は共通対応の指針を示すなど何度も協調を図ったが、夏前には観光再開を焦った各国が逆に制限緩和を急いだため、「第2波」を防げず、ちぐはぐな対応を重ねた。
 ◇93兆円で連帯
 ただ、前例のない危機が「EU内で協調する必要を浮き彫りにした」(フォンデアライエン氏)という側面もある。情報共有や医療物資の共同調達などの連携は徐々に前進。また、コロナの影響が甚大で財政も苦しいイタリアやスペイン救済のため、7月の首脳会議で7500億ユーロ(約93兆円)の経済再建策に合意できたのは大きな成果だ。
 EUが初めて大規模な資金を共同で借り入れて連帯する内容で、多くの識者やメディアが欧州統合における「歴史的合意だ」と評価する。資金の37%は、現体制が最も重視する気候変動対策に投じる計画だ。
 とはいえ、昨年12月に表明した2050年の温室効果ガス「実質ゼロ」目標の法制化には、加盟国に依然異論が残る。さらに対中国政策や難民問題などEU内の意思統一に手間取る課題はほかにも山積みだ。EUを離脱した英国との貿易交渉も未決着のまま。対米貿易摩擦の解消はバイデン次期政権との折衝に持ち越しとなった。 (C)時事通信社