新型コロナウイルスワクチンについて、日本は米ファイザーとは6000万人分の供給に向けて基本合意している。ファイザーは日本でも臨床試験(治験)を進めており、薬事承認を今後申請する方針。厚生労働省は申請を受け、迅速に審査・承認して緊急輸入する見通しで、保存や輸送に向けた準備も進めている。
 国は8月、来年前半までに全国民分のワクチンを確保する方針を表明。ファイザーを含む米英3社から計1億4500万人分以上を購入することで契約・合意に達した。
 厚労省は企業側からの申請があれば最優先で有効性や安全性を審査し、承認の手続きも簡略化する。海外での承認などを条件に審査を簡略化できる「特例承認」を利用する可能性もある。同制度は、2009年の新型インフルエンザ流行時に、欧州2社のワクチン承認で適用されている。
 仮にファイザーのワクチンが承認されて輸入・使用する場合、品質を保つには零下70度で保管する必要があり、厚労省は超低温冷凍庫約3000台を確保する方針。ワクチンの流通状況などを自治体と共有するシステムの開発も進める。10月には、実施主体となる市町村が接種を迅速に開始できるよう、必要な人員体制の確保などを求める通知も出した。
 接種費用の無料化を柱とする改正予防接種法は2日の参院本会議で可決、成立した。改正法では接種を国民の努力義務とし、製薬会社が負う健康被害への補償を国が肩代わりする契約を、国と企業側が結べるようになる。接種で健康被害が出た場合の救済額は、現行の制度下で最高水準にする。
 ワクチンは、医療従事者と高齢者らに優先接種される。厚労省は副反応の頻度などを調べるため、接種を受けた医療従事者らに健康状態を一定期間報告してもらうことを検討しており、調査の規模は1万人程度を想定している。
 厚労省幹部は「企業側がどんな治験データを基に申請するかは分からないが、申請後は安全性や有効性をしっかり審査し、迅速に承認手続きを進めたい」と話している。 (C)時事通信社