【パリ時事】クリスマス商戦が始まった欧州で、外出する人が急増している。フランスでは11月末に2度目の外出制限が緩和された直後、おもちゃ店や衣料品店の前で入店を待つ人々が列を成した。スペインでも11月末、混雑する都市部の商店街の様子が報じられた。新型コロナウイルスの感染再拡大に危機感を抱いたスペイン保健省高官は「良識」ある行動を呼び掛けている。
 仏政府は、10月末から全国で実施していた外出制限を11月28日に緩和。それまで散歩やジョギングなど自宅から1キロ圏内で1時間までしか認められなかったが、運動目的の外出の制限が大幅に緩和された。生活必需品以外を扱う商店も営業を再開。買い物に関しては距離や時間の明確な制限がないため「実質的には自由な移動が可能」(仏LCIテレビ)となった。
 外出できる開放感にあふれたパリ首都圏では1日、各地で渋滞が発生。地下鉄は通勤客らで混雑した。パリのデパートへ買い物に訪れた女性はLCIに対し「家にこもりきりは良くない。子供たちに外でクリスマス気分を味わわせたい」と語った。
 スペインではほぼ全土で夜間外出が禁止となり、各自治州がそれに加えて独自の規制を設けている。全国的な店舗や飲食店の休業措置は取られていないものの、実質的に深夜の営業は禁止。スペインでは夕食の時間が日本より遅く、人々は生活スタイルの変更を余儀なくされている。
 中央政府のスペイン保健省高官は11月30日、地元ラジオに出演し「感染拡大を抑えるまで多くの犠牲を払った。感染は終わっていない」と強調。再拡大防止のため、人混みを避けるよう呼び掛けた。
 ただ、スペインでは規制の最終決定権は各自治州が持つ。保健省は、夜間外出禁止の時間延長など規制強化を自治体に推奨しているが、クリスマスは国民が最も楽しみにしている季節。規制強化という不人気政策の責任を押し付けられたくない。パイス紙によると、マドリード自治州副知事は11月30日、「家の中が最も感染リスクが高い。人々は外に出た方がいい」と主張した。
 欧州は不安を抱えながらクリスマス・シーズンに突入した。感染対策の足並みがそろわなければ、年明けに再び感染の大波にのみ込まれる。 (C)時事通信社