【モスクワ時事】英国が米製薬大手ファイザーの新型コロナウイルスワクチンを承認した。一方、ロシアのプーチン政権は8月に、国産ワクチン「スプートニクV」を認可済みだ。「世界初」承認とするコロナワクチンを手に、国際社会での影響力拡大を狙う。
 「ロシアは必要としている国々にワクチンを提供する用意がある」。プーチン大統領は11月、テレビ会議形式で開催された20カ国・地域(G20)首脳会議で自前ワクチンをアピールした。同国は10月、2番目の国産ワクチンも承認した。
 旧ソ連時代に打ち上げられた史上初の人工衛星にちなんで名付けられたワクチンには国家の威信が懸かる。ワクチン開発を内外に誇示したいプーチン政権は、最終段階の大規模な臨床試験(治験)の結果が出る前に承認した。プーチン氏は「完全に安全で有効だ」と強調するが、拙速さは否めず、安全性に疑念が付きまとう。
 ただ、一刻も早くワクチンを入手したい途上国の間では、ロシア産ワクチンへの関心は高いようだ。ロシア政府によれば、50カ国以上から購入希望があり、インド、ブラジル、中国、韓国などと協力した現地生産も計画している。
 ロシア国内では医師や軍人らへのワクチン投与が始まっているが、肝心のプーチン氏は接種していない。「国家元首が(治験の)ボランティアとして接種を行うことはできない」(ペスコフ大統領報道官)としているが、不信感も広がる。量産の遅れが指摘されていたが、プーチン氏は2日、来週末からの大規模投与開始を指示した。英政府がファイザー製のワクチンの接種を始めることを意識したもようだ。 (C)時事通信社