【ベルリン、ニューデリー時事】米ファイザーと独ビオンテックが共同開発した新型コロナウイルスのワクチンが、先進国で初めて英国で認可された。日米欧の先進国は人口を上回るワクチンの調達契約を既に製薬各社と結んだが、途上国のワクチン確保は進んでいない。また、超低温での輸送も途上国にとっては大きな課題だ。
 20カ国・地域(G20)首脳会議は11月23日、ワクチンや治療薬の「安価かつ公平」な配分で努力することで一致した。だが現状は、公平には程遠い。
 米デューク大学によると、先進国が調達で合意した各社のワクチンは計38億回分。人口比で米国が1.7倍、欧州連合(EU)は2倍、日本も1.1倍を確保した。一方、世界保健機関(WHO)が主導する、途上国向け共同調達の枠組みは人口の2割分確保が目標で、手当てできたのも7億回分にすぎない。なお、ファイザーは現時点で同枠組みへの供給契約を結んでいない。
 先進国はワクチン開発段階で、承認後の調達を確約する「事前購入契約」を製薬各社と締結。失敗リスクもあるワクチン開発に多大な投資をする企業にとっては好都合だが、「先取り」を許す構造とも言える。
 低温物流網の未整備も途上国に重くのしかかる。ファイザーのワクチンに使われる物質「メッセンジャーRNA(mRNA)」は化学的に不安定で分解しやすく、長期間の維持にはマイナス70度程度での保存が必要。米UPSや独DHLなど物流大手は、米国を中心に低温保管設備の整備を急ピッチで進めている。
 アフリカやアジアの途上国は、こうしたインフラ整備に立ち遅れている上、高温の国も多い。夏は気温が45度を超える地域もあるインドでは、食品関連でさえ低温物流が整っていない。印政府高官は既存設備もコロナワクチンに対応可能とするが、「さらに増やす必要がある」と認める。
 モエティWHOアフリカ地域事務局長は、ワクチンの数的な確保だけでなく物流網の整備も「国際支援で考慮されるべきだ」と訴えた。 (C)時事通信社