【ロンドン時事】新型コロナウイルスのワクチンが承認されたことを受け、英政府は今後、全国的なワクチン普及計画を本格化させる。接種はまず高齢者を優先し、来春までに一般市民に行き渡らせる方針だが、一方でワクチン懐疑派による「反接種運動」も広がりを見せており、普及の障害になると懸念が強まっている。
 英国ではワクチン開発の進展と並行するように、「アンチ・バクサー」と呼ばれる反ワクチン主義者や、安全性や効果に疑問を抱く人々による接種反対運動が活発化。ソーシャルメディア上ではワクチンの危険性を強調する投稿やうわさに基づく誤情報のほか、根拠のない陰謀論も拡散している。一連の情報に影響されて接種に消極的になる人もおり、11月中旬時点の世論調査では、接種を拒否する考えの英国民は5人に1人となった。
 「ワクチン忌避」が広がり接種人口が減れば、多数に予防接種を受けさせて流行を阻止する目的が果たせなくなる恐れがある。焦る政府は「反対論は筋が通っていない。議論に耳を貸さないように」(ジョンソン首相)と訴える。
 ただ、反対論者でなくとも異例のスピードで出来上がったワクチンの安全性に不安を覚える国民は少なくない。ロンドン大学衛生熱帯医学大学院でワクチン信頼性プロジェクトを率いるハイジ・ラーソン教授は英紙を通じ「反対運動はそれまでワクチンについて考えもしなかった種類の人々にまで影響を及ぼしている。十分な人が接種するよう望むが、予想されるより難しい」と警告した。
 政府は、ソーシャルメディア各社に誤情報の対策強化を要請した。ただ、野党労働党は「十分ではない」と批判し、誤情報削除を各社に義務付ける緊急立法が必要だと主張している。 (C)時事通信社