北極圏に生息し、1年のうち8カ月間も飲まず食わずで冬眠する「ホッキョクジリス」(リス科)は、冬眠中に骨格筋のたんぱく質をゆっくり分解し、体の機能維持に重要なたんぱく質を合成するのに再利用していることが分かった。米アラスカ大などの研究チームが飼育実験で解明し、国際的な科学誌ネイチャー・メタボリズムに8日発表した。
 肺や腎臓などの機能維持に必要なたんぱく質のほか、骨格筋を作り直すのに再利用されているとみられ、冬眠から覚めた際にも動ける。人間の場合、高齢や病気で寝たきりになって体を動かさないと筋肉が衰えてしまう。ジリスが冬眠して動かなくても筋肉を維持する仕組みを解明すれば、人の医療に役立つ可能性があるという。
 たんぱく質はさまざまな種類のアミノ酸で構成されており、アミノ酸は窒素を含む。研究チームは、自然に存在する窒素原子の大半を占める「窒素14」より重い安定同位体「窒素15」を目印として利用。ホッキョクジリスを捕獲して研究室で冬眠させ、体に窒素15を取り込ませた上で、骨格筋のたんぱく質を構成するアミノ酸が再利用される様子を追跡調査した。 (C)時事通信社