【ロンドン時事】新型コロナウイルスワクチンの接種が始まった英国で、ワクチン奨励のため接種の有無を示す公的証明書を導入する案が浮上し、是非をめぐり議論になっている。
 英国では2日、世界に先駆けて米製薬大手ファイザー製のワクチンが承認され、8日から高齢者ら優先グループを対象に接種をスタート。政府は来春までに大半の国民に行き渡らせ、社会の早期正常化を目指したい意向で、「パンデミック(大流行)の出口が見えた」と期待が高まる。
 一方で、安全性の懸念から「ワクチン忌避」の動きもある。反対派の一部は根拠のない陰謀論をソーシャルメディア上で展開。接種に消極的な人も多い。政府は接種を義務化しないとしており、普及のための代案として挙がっているのが「免疫パスポート」「ワクチンパスポート」とメディアで呼ばれる証明書のシステム導入だ。
 ワクチン配布計画を担うザハウィ政務次官によると、政府は接種の有無を携帯アプリで記録するシステムを検討中。ザハウィ氏は、これが「証明書」のような形でパブやレストランに入る際に使用されることもあり得るとした上で、「サービス提供者からワクチンを受けたか見せるよう圧力がかかる」と述べ、未接種の場合は入店禁止となる可能性も示唆した。また、接種済みの人が病院でもらえる新型コロナの予防接種カードが証明書と同様に利用されるとの見方もある。
 ところがザハウィ氏の発言の後、ワクチンパスポートについて問われたゴーブ国務相が「計画にない」と慌てて否定し、方針をめぐり政府内の混乱を露呈。さらに、効果や倫理上の観点から証明書使用に批判的な専門家もいる。人権擁護団体リバティは英紙上で「一部の国民が自由を得、そうでない人は社会から締め出される二重構造を生み出す」と導入に疑義を呈した。 (C)時事通信社