新型コロナウイルスの重症者が急増している大阪府。府は大学病院に追加の病床確保を緊急要請したが、即応は難しい。「今がぎりぎりだ」と話す病院関係者は、医療崩壊への危機感を募らせている。
 府は、約20の医療機関で計206の重症病床を事前に確保していた。ただ受け入れ態勢を整えるのに時間を要し、11日時点で稼働しているのは188床にとどまる。運用率は先月下旬から8割を超えており、重症者が病床数を上回る恐れが現実味を帯びてきた。
 15日から稼働する「大阪コロナ重症センター」は30床を備えるが、全面運用には時間がかかる。そのため府は7日、府内の五つの大学病院に計20床の追加確保を緊急要請した。
 近畿大学病院(大阪府大阪狭山市)の東田有智院長は「今がぎりぎり。医療崩壊になれば、助かる命も助からなくなる」と危機感を募らせる。これまで重症者向けに10床を運用し、医師3人と看護師約30人で対応しているが、11月中旬からは満床状態が続く。感染拡大の長期化に伴い、自らの感染への緊張感や防護具の身体的負担が重なり、看護師らは疲弊している。
 東田院長は「重症病床を増やすということは、どこか一部の機能を止めるということだ」と話し、判断の難しさをにじませる。結局、同病院では2床の増床を決めた。
 府の専門家会議で座長も務める朝野和典大阪大大学院教授は「満床が続く中で、重症病床を追加で増やすのはかなり厳しい」と話す。人工呼吸器を扱える医師や看護師の確保に加え、病院によっては酸素の配管など設備上の問題も出てくるという。
 朝野氏は「第4波」への備えも進める必要があると指摘した上で、「重症病院だけの対応には限界がある。全ての病院が工夫して当たる段階だ」と訴えた。 (C)時事通信社