新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、同時流行が懸念されるインフルエンザの患者数が異例の低水準で推移している。例年なら流行入りの時期だが、11月の全国の報告数は139人で、昨年の0.2%ほどに激減。手洗いやマスク着用の効果に加え、コロナ感染により後から来たウイルスの感染が阻害される「ウイルス干渉」の可能性も指摘される。
 インフルエンザは通常、11~12月に流行入りし、1~2月にピークを迎える。厚生労働省は全国約5000の医療機関の報告を基に患者数を集計するが、今年9、10月は週3~32人で、昨年の0.1~1%程度。11月第1~4週(2~29日)は計139人で、昨年のほぼ同時期の計5万6974人と比べ約0.24%に減った。
 1機関の平均患者数(1週間)が1人を超えると流行入りとみなされるが、今月6日までの1週間は0.01人にとどまる。手洗いやマスク着用が要因に挙がるが、それだけでは説明が難しい。
 ウイルスに感染すると、免疫細胞を活性化させて感染を抑制するたんぱく質「インターフェロン」が体内で生み出され、他のウイルスに感染しにくくなる。北里大大村智記念研究所の中山哲夫特任教授(臨床ウイルス学)は、こうした「ウイルス干渉」の可能性を挙げる。子どもがかかり、風邪に似た症状が出るRSウイルスは秋から冬に流行するが、インフルエンザ流行とともに収束するのが典型例という。
 中山氏は「新型コロナは感染力が強いため、感染が拡大する地域ではインフルエンザにかかりにくいのではないか。5~6月に冬季を迎えた南半球でインフルエンザがほとんど流行しなかったのも、ウイルス干渉の可能性が高い」と分析する。
 ただ新型コロナ同様、インフルエンザも感染動向の予測は難しい。厚労省の担当者は「現時点ではウイルス干渉の証拠はない。手洗いやうがいといった基本的な感染予防策を徹底し、警戒を続けてほしい」と話している。 (C)時事通信社