【ワシントン時事】新型コロナウイルスの感染爆発は、全米で黒人や中南米系、先住民などの人種的少数派(マイノリティー)を直撃し、米国社会の根深い人種間格差を浮き彫りにした。バイデン次期政権は、世界最多の死者を出した米政府への信頼回復という重い課題を背負う。
 マイノリティーがコロナの犠牲になる確率は何倍も高い―。バイデン氏は格差に繰り返し警鐘を鳴らす。米疾病対策センター(CDC)によると、コロナで入院した患者の割合は中南米系が白人の4倍弱、黒人は3倍強に上る。
 移民支援団体のラティーノ・コミュニティー財団は、マイノリティーの感染率が高い理由について「雇用、保険、住宅などで不平等な環境に置かれているため」と分析。低賃金のサービス業に就く人や、密集した集合住宅で生活する人が多く、常に感染リスクにさらされている。
 次期政権のコロナ対策の特色の一つが、人種への配慮だ。厚生長官に起用されるベセラ氏は中南米系で、州司法長官や議員としてマイノリティーの権利向上に努めた。医療格差を研究する専門家チームも結成。リーダーに指名された米エール大准教授のスミス氏は「検査、治療、ワクチンへの公平なアクセスを確保する」と意気込む。
 医療費や保険料の高さが格差を助長した側面もある。米国の1人当たりの年間医療費は平均1万ドル(約104万円)を超え、日本や欧州の約2倍。カイザー・ファミリー財団によると、医療保険未加入者に占める中南米系の割合は20%、黒人は11.4%と、白人の7.8%を上回る。
 大統領選では、オバマ前政権が国民皆保険を目指して導入した医療保険制度改革法「オバマケア」の存廃が大きな争点となった。オバマケア実現に尽力したベセラ次期厚生長官は「すべての米国人が安価な医療を受けられるようにする。今こそ不平等を正すときだ」と訴えている。 (C)時事通信社