外科医が自身の誕生日に行う手術は、それ以外の日よりも死亡率が上がることが、慶応大などの研究チームによる米国の医療データ解析で分かった。研究チームは「外科医のパフォーマンスが、プライベートな要因に影響を受ける可能性が示唆された初の研究。現時点で過剰に心配する必要はない」と説明している。論文は12日までに、英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナルに掲載された。
 外科医が目の前の手術への集中力が低下する要因はいろいろと考えられるが、慶応大の加藤弘陸特任助教と米カリフォルニア大ロサンゼルス校津川友介助教授らの研究チームは、手術を早く終えようとするなどの影響が考えられる「誕生日」に着目。手術日を選びにくい緊急手術を対象に、2011~14年に米国の65歳以上の高齢者が受けた手術データ約98万件(うち誕生日は約2000件)と、担当外科医約4万7500人のデータを結合して分析した。
 統計処理により、患者の年齢や性別、対象疾患などの影響を補正し、同じ外科医が誕生日に行った手術と、誕生日以外に行った手術のそれぞれ術後30日の死亡率を比較した結果、誕生日に手術を受けた患者の死亡率は6.9%と、誕生日以外の5.6%に比べ、1.3ポイント高かった。
 加藤さんは「外科医のパフォーマンスを決める因子を見つけることで、目の前の手術に集中できる環境を実現し、医療の質の向上に貢献できるエビデンスの蓄積を進めたい」としている。 (C)時事通信社