新型コロナウイルス感染の「第3波」を受けて、観光支援事業「Go To トラベル」の年末年始の一時停止が決まり、各地の旅館やホテルは15日、相次ぐキャンセル連絡への対応に追われた。「一番の稼ぎ時に痛い」「もっと早く判断してくれれば」。対応が後手に回った政府への恨み節も漏れた。
 神戸市の有馬温泉で、鎌倉時代から続く老舗旅館「陶泉 御所坊」の金井啓修社長(65)は「一番の稼ぎ時に痛い。正月用の食材の仕入れなどもある」と訴え、影響は観光業以外にも広がるとの見方を示した。別の旅館の女性従業員(73)は「(政府が)もっと早くに判断していれば、年末年始は避けられたのでは」とため息をついた。
 福島県いわき市の温泉リゾート「スパリゾートハワイアンズ」では、担当者が「どの程度の影響が出るかは見通せておらず、対応を検討中だ」と不安そうに話した。
 同施設ではフラダンスショーの時間を短縮するなどコロナ対策を強化し、11月の客足が昨年の7割ほどまで回復していた。それだけに事業の停止は痛手だが、「安全安心の衛生対策をより徹底する」と気を引き締めた。
 北海道小樽市のホテル「アンワインドホテル&バー小樽」では、14日以降のキャンセルが50件に達した。10月は客室の約8割が埋まるほどの回復基調だっただけに影響は大きいが、大場伸二マネジャー(45)は「感染拡大を防ぐために(停止は)やるべきだと思う」と前を向いた。
 12月の宿泊予約が例年の約9割まで回復しつつあった神奈川県箱根町。町観光協会の佐藤守専務理事(51)も、相次ぐキャンセルに苦しい表情を見せつつ、「観光客が安全でこそ成り立つ業界。感染推移を見ると、仕方ない」と冷静に受け止めた。 (C)時事通信社