菅政権が「勝負の3週間」と位置付けた新型コロナウイルス感染の集中対策期間が16日、期限を迎えた。この間、感染拡大は止められず、政府対応は後手に。野党は経済活動の再開と感染防止の二兎(にと)を追う菅義偉首相の方針を批判。足元の自民党内からも疑問の声が出ている。
 「感染者の高止まりを真摯(しんし)に受け止めている」。首相は16日、首相官邸で記者団にこう表明。同日の衆院内閣委員会の閉会中審査では、「勝負の3週間は効果がなかった」と断じる立憲民主党の玄葉光一郎元外相に対し、西村康稔経済再生担当相は「残念ながら減少傾向に至っていない」と認めた。
 「勝負の3週間」は西村氏が11月25日の記者会見でこの言葉を使ったのが始まり。専門家らでつくる新型コロナ対策分科会の提言を受け、政府は営業時間短縮に協力した飲食店への支援といった対策を表明した。当初、西村氏は短期集中実施により3週間目に効果が表れると公言していた。
 しかし、国内の感染状況はその後も悪化。新規感染者は11月25日時点の約1.5倍に当たる3000人規模にまで最大で膨らんだ。重症者数も200人以上増えて600人超に広がり、北海道や大阪府などで医療体制が逼迫(ひっぱく)する事態を招いた。16日も東京都の新規感染者が過去最多を更新した。
 現状に至った要因として国民の「自粛疲れ」を挙げる声もある。分科会の尾身茂会長は衆院内閣委で「(国民の間で対策が)徹底されていない」と述べた。
 一方で首相が看板政策「Go To トラベル」にこだわりを見せてきたのも確か。玄葉氏は内閣委で「『外出は自粛しなさい、しかし旅行は奨励します』はメッセージとして明らかに正反対だ」と強調。これが「失敗の原因」だと主張した。
 首相は「勝負の3週間」が終わるのを待てず、「トラベル」の年末年始の一時停止を決めた。内閣委で立憲の今井雅人氏に「停止で感染拡大を防げると期待しているのか」と問われた西村氏は「人と人との接触機会の低減につながる」と答弁。政府はトラベル事業と感染拡大の因果関係を否定してきたが、これを軌道修正するかのような格好になった。
 首相は最近、後期高齢者の医療費負担引き上げでも方針転換を余儀なくされた。ある自民党中堅は「2回連続でぶれた。内閣支持率は下がり続ける」と指摘。同党ベテランは「やることが中途半端だ」と漏らした。 (C)時事通信社