政府は、望まない妊娠を防ぐ緊急避妊薬を処方箋なしで薬局で販売可能にする検討に入る。新型コロナウイルス禍で性暴力被害や若年層の意図しない妊娠が増加する中、緊急避妊薬のより簡単な入手を望む声が高まっていた。来週閣議決定する第5次男女共同参画基本計画に検討方針を明記する。
 計画案には「処方箋なしに緊急避妊薬を利用できるよう、当事者の目線に加え、健康支援の視野に立って検討する」と記した。パブリックコメントで多数の要望を受けたため、素案にはなかったこの項目を追加した。田村憲久厚生労働相は10月の記者会見で「ニーズは理解している。検討をしっかり進める」と意欲を示していた。
 現状では、緊急避妊薬の入手には対面かオンラインでの医師による診療と処方箋が必要だ。高い避妊効果のためには性交後72時間以内の内服が求められるが、「医療機関が遠い」「仕事や学校がある」などの事情ですぐに受診できないケースも多い。保険が使えないため、約6000円から2万円程度の費用がかかるとされ、入手をためらう若者も少なくない。
 世界保健機関(WHO)は緊急避妊薬を「必須医薬品」に指定し、入手しやすくするよう勧告している。市民有志による「緊急避妊薬を薬局でプロジェクト」の染矢明日香共同代表らは11月10日、橋本聖子男女共同参画担当相と面会。10万人超の署名と共に緊急避妊薬の市販薬化を求める要望書を提出した。
 染矢氏は取材に、計画案の記述を「前進だ」と歓迎した。ただ、政府は転売防止などの観点から、薬剤師と対面での服用を条件付ける方向だ。染矢氏は「女性を信用しない態度であり、心理的負担にもつながる」として、当事者に寄り添った対応を求めた。
 日本産婦人科医会や日本産科婦人科学会は、緊急避妊薬の処方箋なしでの薬局販売に対し「時期尚早」「犯罪などへの悪用や乱用が懸念される」などと慎重姿勢を示している。このため政府は、緊急避妊薬の市販薬化の検討と同時に、性教育の推進や薬剤師の研修強化、助産師による相談支援体制の強化も進める方針だ。 (C)時事通信社