厚生労働省は22日、2019年度の高齢者虐待に関する調査結果を公表した。職員が加害者となった特別養護老人ホームなどの施設は前年度比3.7%増の644カ所で07年度の調査開始以降過去最多を更新した。自治体の通報窓口が普及し、同僚らからの相談件数が増えたことが要因とみている。一方、家族らによる虐待は1万6928件で、同1.9%の微減だった。
 同省は全国の高齢者施設に対し、21年度から虐待への対策委員会設置などを義務付ける方針だ。
 虐待が発生した施設で特定できた被害者は1060人で、女性が約7割を占めた。内容では暴力などの「身体的虐待」が60.1%と最も多く、侮辱的な発言をするなどの「心理的虐待」が29.2%で続いた。職員による虐待が起きた施設の約3割は、過去に行政から何らかの指導を受けていた。
 虐待の発生要因は、職員の教育や知識、介護技術などが不足していることによるものが過半数を占め、職員のストレスなどによるもの(26.4%)がこれに次いだ。加害職員は男性が52.3%と過半数を占めた。介護職の男性の割合が約2割であることを踏まえると、男性の割合が高いことが浮き彫りとなった。 (C)時事通信社